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教えて！! ドクターQ&A

静岡新聞(朝刊)に定期的に掲載されている教えてドクターQ&Aのコーナーに院長が執筆しております。
歯や歯科についての質問やお悩みにお答えしていますので実例をご紹介します。

※Qをクリックすると回答を見ることができます。

• Q

  子どもの仕上げ磨きについて教えてください。どんな部分が虫歯になりやすいのでしょうか？（2024年3月26日掲載）

• A

  　虫歯になりやすい部分は、お口の中に三箇所あります。歯の噛む面にある溝の部分、歯と歯の間の隙間、歯と歯茎の境目です。歯の平らな面は、唇や頬の動きで虫歯の原因となる歯垢という汚れが自然にとれますが、でこぼこした面や隙間は、その自浄作用が働かないので虫歯になりやすいと考えられるからです。仕上げ磨きは、その歯磨きがしづらい、自浄作用が働かない部分をフォローしてあげるのが目的です。
  　６歳前後に仕上げ磨きを強化するのが重要で、理由は、この頃生えてくる第一大臼歯は、乳歯の奥の陰になる部分に生えてくるため、虫歯になりやすいからです。歯ブラシの毛先がでこぼこの面に当たっているか意識して仕上げ磨きをしましょう。永久歯は一生使うもので、お子さんと一緒に大事にしていきたいですね。歯磨きだけでなく、虫歯の原因となる砂糖の摂取のコントロールや、歯の質を強化するフッ素入りの歯磨き剤の使用なども併せて検討する必要があります。お子さんと保護者、歯科医院のスタッフの三者で協力して虫歯の予防をしていくのが重要です。

• Q

  50代女性です。最近、歯茎が下がってきたのが気になっています。原因は何でしょうか。治療できますか。（2024年1月25日掲載）

• A

  　歯茎が下がる原因には様々なものがありますが、代表的なものに歯周病があります。
  　感染により、歯茎が腫れたり出血したりを繰り返し、歯を支えている骨が溶けて、それとともに歯茎が下がってきます。またその他の原因として、不適切な歯ブラシの当て方や、ものが歯の間に圧入される刺激で歯茎が下がることもありますし、歯ぎしりや食いしばりが強い方も、その刺激で歯茎が下がる可能性があります。
  　治療としては、歯周病の検査や、噛み合わせの検査の結果により対応が変わりますが、基本的には、歯周病の原因となる歯垢を取り除く治療やメンテナンスを行い、適正な歯磨きを心がけます。歯に強い負担が生じるような噛み合わせが発見された場合は、強く当たっている歯の面を削ったりして噛み合わせの調整をしたり、歯ぎしりや食いしばりに対しては、マウスピース治療や理学療法を行います。
  　一度下がってしまった歯茎を元に戻す外科的治療がありますが、条件が合わないと満足した治療結果が得られませんので、かかりつけ歯科での定期的な管理をお勧めします。

• Q

  5歳の娘がテレビを見ているとき、口が開いたままになっているのが気になります。歯並びなどに悪い影響はないでしょうか。（2023年11月28日掲載）

• A

  　口が開いたままになって、いわゆるポカンお口になった状態が継続している様子から推測しますと、口呼吸をしている可能性があります。この口呼吸は、歯並びに大きく影響します。
  　歯並びは、歯の列の内側から押される舌の圧力と、歯の列の外側から押される唇や頬の筋肉の力のバランスで整えられています。
  本来、私達の舌は、ほとんどの場合口の中の上側に収まっていますが、口呼吸をしていると舌の位置がだらんと下がって上顎が発達しにくくなり、歯列が乱れてきます。口を開いたままの状態ですと、上唇の前歯を内側に押す力が弱くなり、いわゆる出っ歯になる「上顎前突」になる傾向があります。更に舌を突き出す癖が加わると、上下の前歯の重なりがなく隙間が生じる「開咬」になることもあります。
  　また、口を開けた状態が長く続くと、口の中が乾燥して、むし歯や歯肉炎を発症しやすくなるなどの、歯並び以外にも悪影響が生じます。
  　歯並びは、歯の周囲の筋肉のバランスに影響されますので、口呼吸されている場合は、注意が必要になります。

• Q

  秋になると「ドライマウス」が増えると聞きました。どのような病気ですか。（2023年9月25日掲載）

• A

  　秋から冬にかけて、空気が乾燥した日々が続きますが、この時期に発症が多い病気の一つが、ドライマウス(口腔乾燥症)です。ドライマウスとは、唾液の分泌量が減り、口が乾きやすくなる疾患で、国内の患者数は約800万人、予備軍は約3000万人と推定され、65歳以上が30％を占め、女性に多く見られます。
  　ドライマウスの自覚症状としては、口が乾く、乾いた食品が飲み込みにくい、唾液がネバつく、舌の痛み、味覚異常などを頻繁に感じるようになります。また、虫歯や歯周病の重症化、口臭の悪化、感染症のリスク増加、口角炎、摂食嚥下障害などが発現します。
  　ドライマウスの原因は、自己免疫疾患の一種であるシェーグレン症候群をはじめ、糖尿病や腎臓病、高血圧症などの病気によるものがある他、アレルギーの薬や抗うつ剤、血圧降下剤などの薬の副作用、ストレス、口呼吸、加齢による唾液量の減少なども考えられます。
  　対策としては、①唾液腺をマッサージする、②口腔保湿ジェルや保湿効果のある洗口液を用いる、③よく噛んで食事をして唾液の分泌を促す、④鼻呼吸を心がける、などが挙げられます。 口がいつも乾いているという自覚がある人は、早めに歯科を受診して相談してみましょう。

• Q

  最近、いびきが激しいと家族に指摘され、耳鼻科を受診しましたが、検査したところ、睡眠時無呼吸症候群と言われ、歯科を紹介されました。どのような治療をするのか教えてください。（2023年7月26日掲載）

• A

  　無呼吸とは、10秒間の呼吸の停止と定義され、それが1時間に5回以上記録される場合は病的と考えます。いびき、日中の異常な眠気、起床時の倦怠感、などの症状が合併しているとき、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。この疾患は、睡眠中の無呼吸によって分断された睡眠がもたらす様々な悪影響の他、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などのリスクファクターとして重要視されています。
  　治療法は、まず患者さんには、①睡眠中の体位の工夫、②体重コントロールや生活習慣の見直し等を行ってもらい、医療機関では、(1)ＣＰＡＰ治療(経鼻的持続陽圧呼吸療法)で適正な酸素の確保、(2)歯科装具による治療、(3)外科治療等があります。
  　このうち歯科装具は、下顎を前方に位置させ気道スペースを広げ、呼吸を妨げないようにする特殊なマウスピースを歯科で作製して、睡眠時に装着するものを指します。歯科では、医科からの紹介に限ってマウスピースの作製が保険適用されています。まず、睡眠時無呼吸症候群を専門とする医療機関に相談される事をお勧めします。

• Q

  歯が痛くて歯科を受診しましたが、虫歯なのでとりあえず詰め物をしますと言われて、そのまま帰されました。なぜ当日に治療してもらえないのでしょうか？（2023年5月29日掲載）

• A

  　お口の中が痛む時は、虫歯が原因、歯周病(歯ぐき)が原因、歯や歯ぐき以外が原因だが歯が痛むように感じる、などのパターンが考えられます。
  　虫歯の影響で痛む場合、歯の神経を治療する可能性がありますが、痛みが強い時は、麻酔が効きづらいケースや、歯を削った刺激で痛みが増してしまう恐れがあり、痛み止めの薬を歯に詰めたり、鎮痛剤等の内服薬で、痛みをとるのを優先して、初日の治療を終わりにすることはよくあります。
  　歯周病の痛みも、腫れている状態で治療を開始しても、結果、治りが遅くなってしまうことがあり、本格的な治療を開始する前に歯石をとったり、歯のクリーニングをしてお口の中をキレイな状態にしてから治療を開始するのが標準的な考えとされております。
  　稀に、歯や歯ぐき以外に原因があるが、誤って歯の痛みと錯覚して、歯科へ来られる患者さんがいらっしゃいます。その場合、他科との連携が必要となり、初診時には、歯の治療を行わない場合があります。
  　初診時に治療が迅速に始まらないのは、いろいろな理由がありますので、かかりつけ医に治療の概念等を聞くのをおすすめします。

• Q

  １歳６ヶ月の女の子です。歯科健診で右下の２番目の歯が１本足りないことを指摘されました。今後、何歳頃を目安に、どんな治療や対応が必要になるのかなど教えて下さい。（2023年1月26日掲載）

• A

  　歯の先天欠如は、乳歯では、0.2～2.5％くらいの子供に見られると報告されており、上下の乳側切歯(２番目の前歯)が欠如しやすく、また乳歯が先天欠如ですと、その後に生える永久歯も欠如することが多くなります。その場合、歯列に空隙ができたり、下顎の歯列が少し小さめになって咬み合わせが深くなったりすることなどの影響が考えられます。
  　あごの骨の中で発育している永久歯の数や発育状態は、エックス線写真を撮らないとわかりませんが、乳歯から永久歯への生え変わりのために、乳歯の歯根が吸収され始める４歳頃に撮影して、その部位の永久歯の発育状態や乳歯の歯根吸収の状態をチェックしてもらうことが必要となります。
  　治療等については、定期的に永久歯の生え方や歯ならび、咬み合わせの状態を診てもらって、小学校の中学年から高学年くらいになったら、矯正治療などが必要かどうかを判断してもらうことが一般的です。また、状況により、人工的な歯を入れる補綴(ほてつ)治療を検討する場合もありますので、かかりつけ医での定期的管理をお勧めします。

• Q

  20年以上歯科に行っていなく、家族に言われてしぶしぶ行くと、歯周病の疑いがあって歯の動揺もあると言われましたが、自覚症状がありません。定期的な治療のほか、何に気を付ければいいでしょうか。（2023年1月26日掲載）

• A

  　歯周病は、初期段階から中等度に進行しても痛みなどの自覚症状がほとんどでないのが特徴です。そして、歯科を受診せずにいると、気付いた時にはさらに進行して重症化してしまい、治療に時間がかかったり、歯がぐらぐら動揺し始め、抜歯が必要となる事も少なくありません。痛みがなく、食事するのに不都合がなくても、可能な限り早めに治療されることをお奨めします。
  　そして、定期的に歯科医院に通院し、歯周病の検査を受け、常にご自身の歯周病の程度を把握しておく事が大切になります。早期に治療を始め、それを継続する事が、長く自分の歯で食事を楽しむことができるための最良の方法と言えます。
  　また、歯周病を悪化させるリスク因子というものがあり、免疫力を弱めるような生活習慣や全身疾患が問題視されます。代表的なものに喫煙や糖尿病があります。歯科だけでなく、内科的な治療も平行して行う事が重要です。

• Q

  小学校1年生の女の子です。下の永久歯が生えてきましたが、乳歯が抜けないまま裏側に見えてきました。抜歯すべきでしょうか。（2022年11月17日掲載）

• A

  　子供の歯(乳歯)から大人の歯(永久歯)への生え変わりは6歳ごろから始まり、時期や順序は、個人差はありますが、下の前歯から始まる事が多いとされています。下の前歯の永久歯が、乳歯が抜けないまま裏側に出てきてしまい、重なって見える事はよく見られる現象で、「エスカレーター萌出」と呼ばれています。
  　これは、永久歯の元の部分が、乳歯の内側に位置していて、エスカレーターを登るように永久歯が乳歯を前に押し出しながら斜めに進み、最終的には、正常な位置に収まる生え方を表現します。通常、特に抜歯しなくても、良い位置に永久歯が収まりますので抜歯はしません。
  　乳歯は、永久歯に押されて歯の根が吸収してぐらぐらして抜け落ちますが、何らかの原因で、歯根が吸収しない場合がまれにあります。また、顎の大きさと永久歯の大きさの調和が著しく合わない場合は、歯並びがでこぼこになってしまう事もあります。このような時は、抜歯をする場合もありますので、抜歯が必要か否かの見極めは、かかりつけ医に相談される事をお勧めします。

• Q

  小学生の子供が、学校から虫歯治療の勧告書をもらってきました。ＣＯと書かれており、かかりつけ医に行ったら、治療の必要がないと言われました。ほんとに虫歯でないか心配ですので、ＣＯの意味を教えて下さい。（2022年9月13日掲載）

• A

  　ＣＯは、英語で言うと「虫歯」の意味のCaries(カリエス)と、「観察」の意味のObservation(オブザベーション)の頭文字をとった歯科用語で、日本語に訳すと「要観察歯」となります。虫歯と疑わしい特徴はあるものの、すぐに削ったりするような治療の必要ない歯の状態のことをいいます。
  　ちなみに、治療が必要となる虫歯は、先ほどのCariesの頭文字をとってCと、虫歯の深さの度合いを表す数字の1から4の組み合わせで表します。例えば、C4とは重症の虫歯を示します。COの見た目は、もともとある小さなくぼみや溝の部分に、褐色や黒色の部分があるが溝があまり深くないものや、歯の平らな部分に、白く濁ったり褐色の模様が現れたりしている状態を特徴とします。
  　診療所では、虫歯と識別する為にレントゲンを撮ったり、特殊な器械で溝の深さを計測したりする場合もありますが、すぐに削る治療はしません。しかし、このような状態が悪化し、むし歯に進行していったり、穴があいてしまう状態になる事もあり、継続した虫歯予防と管理が大切となります。

• Q

  歯科治療で使用する金属材料の価格が高騰しているという記事を最近目にします。患者にどのような影響が出るのか教えて下さい。（2022年7月12日掲載）

• A

  　虫歯の治療で削られた部分を補う材料として、現在、金属、樹脂、セラミックといった材料が使われております。正確には、金銀パラジウム合金という金属を使用して詰め物や被せ物が作られていますが、その成分中のパラジウムが市場の相場の乱高下の影響を受け、仕入れ価格が安定しないことが以前から問題になっておりました。昨今の世界的情勢でその差額が顕著となり、マスコミの話題となっています。政府は対策として、治療費の値上げを頻回に行う対応をしたり、そのように不安定な材料を使用せずに治療ができるような新規材料の開発も同時にとられています。
  　患者さんへの影響としては、同じような治療をしても窓口負担が少し高くなったと感じたり、代替材料を歯科医院で勧められるようになった、といったことが考えられます。保険適応ではないですが、セラミックなどの材料も加工技術が進歩しており、良い意味で患者さんの選択肢が増えたとも言えます。ただし、患者さんの歯の状態を診察して、適正な材料を選択するのが重要だと考えますので、詳細はかかりつけの医院にご相談下さい。

• Q

  歯の根の治療(根管治療)とは、何ですか？（2022年5月17日掲載）

• A

  　まず、歯の構造を説明します。歯は、お口の中から覗ける歯冠という部分と、歯ぐきの中に伸びて支えとなっている歯根という二つの部分に分けられます。歯根の内部には、根管という血管や神経が交通する管がありますが、虫歯が大きくなったりすると、その隙間から細菌感染を起こして痛みを発します。痛みをとり、感染が顎のほうに広がるのを防ぐ為に、感染した物を取り除き、無菌的にする方法を、根の治療(根管治療)といいます。
  　感染源を取り除く為に、ファイルという細い針のような物を使い、根管内を掻き出すように清掃しますが、迷路のように複雑な形をしており、ファイル以外に、超音波洗浄などの機器を使用したり、清掃剤を使用するなどします。肉眼やレントゲンでは発見できない樹の枝のような根管が無数に存在する事も多くあり、ファイルが到達できない時は、薬品を何回か詰めて消毒し、治療を完了します。
  　その為、治療に時間がかかったり、通院回数が多くなる事があります。根の治療を終えたら、人工的な材料を詰めたり被せたりして治療が完了しますが、労力と時間を要する治療ですので、根管治療をせずに済むようにメンテナンスしたり、早期の治療で虫歯を大きくさせないのが肝心です。

• Q

  インプラント治療(自由診療)を考えていますが、最近、「インプラント周囲炎」という言葉を聞きます。どのようなものなのか、教えて下さい。（2022年3月29日掲載）

• A

  　何らかの理由で歯を失った部分を補う手段として、歯科インプラントという方法があります。歯が生えていた顎の骨にチタンという金属を埋め込み、その上に人工の歯を装着します。1952年にチタンという金属が骨と結合する性質がある事が発見されてから基礎的研究が進み、現在では、盛んに臨床応用される時代になりました。
  　しかし、インプラントは、自分の歯のように虫歯になることはありませんが、歯磨きや歯科医院での定期的なメンテナンスを怠っていると、インプラント周囲の組織が炎症を起こすことがあります。
  　具体的には、歯茎から出血したり、歯茎が下がって使いづらくなる状態を指します。いわゆる、インプラントの「歯周病」の状態をインプラント周囲炎と言います。自覚症状はほとんど無いのですが、更に進行すると、グラグラして抜けてしまう事もあります。
  　原因は、インプラント周囲に付着する細菌と言われています。予防方法としては、ご家庭での適切な歯ブラシと、歯科医院での定期的な検診やクリーニングが重要ですので、治療する前にかかりつけ医の説明をしっかり受ける事をお勧めします。

• Q

  60歳女性です。朝、洗顔したりすると右の奥歯に激痛が走り、近くの歯医者に行きましたが、虫歯などはないと言われました。診断がつかないので、次回もう一度検査をする事になりました。何が原因でしょうか、教えて下さい。（2021年12月24日掲載）

• A

  　虫歯などがなくても歯に痛みを感じる事はあり、いくつかの種類があります。歯や周囲の歯肉に異常はないのですが、洗顔や歯磨きなど日常での動作がきっかけとなり、電気が走るというような表現の痛みが数十秒続いたりする特徴の痛みがあります。
  　その代表的なものに、三叉神経痛があります。三叉神経は、顔面の感覚を脳に伝える神経で、その名のとおり三つの枝に分かれて走行しています。歯に痛みがくる感覚なので、最初に歯科を訪れる患者さんが多くいます。詳細な検査をしないと断定できませんが、三叉神経痛の診断が確定した場合は、口腔外科や神経痛の専門病院での治療が必要になってきます。
  　薬物療法や、状況によっては外科治療が必要な場合もありますので、もう一度、歯科での診察を受け、しかるべき専門病院での検査、治療をお勧めします。

• Q

  最近、歯科関係でオーラルフレイルという言葉を聞きますが、どういうものか教えて下さい。（2021年9月29日掲載）

• A

  　オーラルフレイルとは、歯や口を意味するオーラルと、虚弱を意味するフレイルを合わせた造語で、「歯や口の働きの衰え」を意味します。固いものが噛めない、食べこぼす事が多くなった、よくむせる、滑舌が悪く口の中が乾燥しやすい、などの症状が挙げられます。病気ではありませんが、放置すると栄養状態が悪くなったり、全身の活力が衰え、社会的にも外出が減り介護が必要になってくる事が研究で判ってきました。
  　そこで歯科では、悪化する前にオーラルフレイルを予防しようとの試みを始めています。定期検診により自分の歯と口の状態を知り、口の中を清潔に保ち、入れ歯の装着、噛み合わせの調整を推奨したり、加齢で口の周囲の筋肉や唾液の分泌機能が低下しないよう、口や舌に刺激を与えて活性化する目的の体操やマッサージなどを紹介するなどの試みです。
  　行政や歯科医師会も、セルフチェックシートなどを作成して啓蒙活動がスタートしております。健康的な毎日を過ごす為に、オーラルフレイルを予防しましょう。

• Q

  歯科で虫歯の治療をしています。虫歯が深く神経を取りましたが、なかなか痛みがとれません。医師に歯科用のＣＴで調べてみますと言われました。どの様な検査でしょうか、教えて下さい。（2021年6月24日掲載）

• A

  　虫歯が深く歯の神経まで進行した場合、痛みを取り、感染を更に深くまで進行させない為に、神経を取る治療を行います。ただし、歯の中の神経は編目の様にいくつもの枝があり、すべて取り除くのが困難で、症状が改善せず、治療が長引く時があります。その神経の走行を調べるのに、2次元的な歯科レントゲンを従来は使用していましたが、色々なものが重なって見えるため、診断に限界がありました。
  　そこで、3次元的に画像診断できる歯科用ＣＴが登場しました。従来のものは、平面的画像で感覚的に判断していましたが、歯科用ＣＴは立体的に捉えられ、今まで画像に映らなかった神経や歯の亀裂が把握できるようになりました。
  　また、周辺に隠れている病巣や、顎骨内の異常、親知らずと太い神経との位置関係なども観察でき、被爆線量も医科用に比べると低く設定されています。従来のレントゲンでは診断困難な時に、歯科用ＣＴを撮影する事が一般歯科でも増えてきました。

• Q

  ７５歳男性ですが、知人が８０２０達成者で表彰されたと聞きました。以前から８０２０運動というのを聞いた事がありますが、どういうものですか。教えて下さい。（2021年3月23日掲載）

• A

  　８０２０運動とは、厚生労働省や日本歯科医師会が推奨し、平成元年に始まった「８０歳で２０本以上、自分の歯を残し、なんでもよく噛める快適な状態に保とう」という運動です。最低でも２０本以上の機能する歯があれば、大抵の食べ物は噛みくだくことができ、食生活にほぼ満足することができると言われており、結果的に、国民の生活の質の向上と、健康寿命が延伸されることを目的にしています。
  　運動が開始してから３０年程が経過しましたが、始まった頃は、１０％にも満たなかった８０２０達成者が、２０１６年の調査では、５０％(２人に１人)になりました。５０％達成に至った経緯として、３０年前よりも、１日３回以上歯を磨く人が倍以上に増加した事、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具や、フッ化物配合歯磨き材使用の増加、年間砂糖使用の減少、定期歯科健診を受診する人の増加などの、意識の高まりがあげられ、早期の虫歯治療や歯周病予防の行動変化の結果、失う歯が少なくなったと考察されています。

• Q

  インプラント(自費診療)を埋めてから5年経ちました。最初は問題なかったですが、最近はインプラントと歯の間に食べ物がよく挟まるようになりました。何が原因でしょうか。（2020年12月21日掲載）

• A

  　インプラントの根元の歯肉が、感染を起こして下がった可能性が考えられます。歯を失った顎に金属の人工物を埋め込み、歯を再現するのが歯科インプラントの実態です。
  　生まれ持った歯には、外部からの感染を防御する組織が歯の周りに備わっていますが、インプラントにはありません。炎症を起こして骨が吸収しますと、歯肉が下がる可能性があります。
  　噛み合わせのバランスも年月が経つと変化し、インプラントに隣接する歯が移動して、それが原因で物が挟まりやすくなることもあります。
  　加齢と共に歯茎が下がるのは問題ありませんが、炎症を起こして変化を起こした場合は、メンテナンスのやり方を変更したり、治療が必要な場合もあります。
  　初期であれば、簡単な歯の形の補正や、ブラッシングの見直しで改善する場合もありますので、メンテナンスを行っている医院に相談する事をお勧めします。

• Q

  18歳女子です。歯並びが悪くインプラントを使った歯列矯正治療（自由診療）を考えています。通常の矯正治療より早くできますか。（2020年9月24日掲載）

• A

  　現在、どの様な歯並びで、どこまで歯並びを良くしたいかによって治療方法は異なりますが、インプラント治療とは、歯を喪失した顎に人工の歯を再現する治療方法を基本とします。歯を治療や外傷等で失っていない場合は、歯科インプラント治療ではなく、器具を使用して歯を移動させる一般的な歯科矯正が第一選択になります。症例によっては数年かけて行うのが一般的です。
  　ただし、インプラントを応用した歯科矯正治療も研究が進んでいます。直径2ミリ長さ7ミリ程度のピン状のマイクロインプラントを、移動させたい歯牙の近くに埋入して、そこに矯正用のゴムやスプリングを引っ掛けて弾性力で歯牙を移動させるもので、3次元的に正確に歯牙を移動させたいときに使用します。歯牙を移動させる目的を達成した後は、ピン状のマイクロインプラントは除去します。正確に歯牙を移動できる為、結果的に治療時間を短縮できる可能性はありますが、矯正治療のスピードを早められるかは、症例により異なりますので、専門医のカウンセリングをお勧めします。

• Q

  口腔ケアが、インフルエンザ感染の予防に効くと聞きましたが、歯科で感染を防げるのでしょうか。（2020年6月掲載）

• A

  　口腔内の細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする物質を出すため、口腔を不潔に保っていると、インフルエンザに感染しやすくなるという報告があります。
  　研究によると、歯周病による炎症もウィルス感染を促進させますし、インフルエンザウイルスは、口腔内雑菌が出す「ノイラミニダーゼ」(ＮＡ)という酵素を介して増殖するので、口腔内雑菌を減少させることで、口腔内雑菌が産生するＮＡの発生を少なくすれば、インフルエンザ感染を抑制できる可能性があるという示唆があり、実際に老人施設において口腔ケアを実施したところ、インフルエンザ発症率を10分の1に減少させた事例も報告されました。
  　お口を清潔に保つには、歯科医院での定期的なメンテナンスが大切ですので、かかりつけ歯科医院での定期受診をお勧めします。

• Q

  糖尿病があるのですが、インプラント治療（自費診療）を受けることはできますか。（2020年3月2日掲載）

• A

  　糖尿病と歯科治療は、大きな関連性があります。歯科治療時に問題となるのが、多臓器の合併症の問題、手術中や術後の低血糖になるリスク、術創治癒不全、治療終了後も炎症を起こしやすい、などがあげられます。
  　また、高血糖の状態は、インプラントと骨が結合するのを阻害する可能性も指摘されています。インプラント治療にかかわらずどの治療もそうですが、患者さんにとって利益となることが、危険性を上回るのであれば、患者さんの同意の元、治療を行います。平成28年の日本口腔インプラント学会の治療指針では、その基準は、糖尿病の検査数値であるグリコヘモグロビンの値が6.9%未満としています。
  　術前に全身的検査を十分に行い、術後は、咀嚼機能が向上するので、過食にならないよう食事コントロールするなどの主治医との連携を推奨しています。歯科インプラントは、咀嚼を回復させるには有効な手段ですが、炎症を起こすこともあり、インプラントの規格や装着する器具なども医院ごとに異なる為、治療を受けた医院でのメンテナンスが重要です。

• Q

  40代の夫ですが、今までむし歯が出来た事がなく、もう10年以上歯医者に行っていません。定期健診を勧めますが、悪いところがないからと行ってくれません。また、歯周病が始まってないか心配です。このまま行かなくても問題ないでしょうか。（2019年12月18日掲載）

• A

  　歯科の定期健診は、最新の厚労省の発表ですと、20歳以上の国民の53%が受けていて年々増加していますが、まだ成人の約7割が歯周病に罹患していると報告されています。
  　歯科健診では、むし歯の有無ばかりでなく、歯周病の有無や進行度合いもチェックします。初期のむし歯や歯周病は、自覚症状がないのが特徴で、かなり進行しないと症状が出ません。症状が進んでから治療に移行しますと、歯を削る量も増え治療も長期化します。歯周病も治癒が難しく対処療法のみになってしまいます。早期発見、早期治療の方が結果的に患者さんの利益が多くなります。
  　また、歯科衛生士のメンテナンスを受ける事により、それらの疾病を予防する事も可能になりました。むし歯や歯周病だけでなく、最近では、口腔ガンの検診も合わせて行う歯科医院も増えてきました。症状が出る前に、定期的な歯科健診の実施をお勧めいたします。

• Q

  祖母の歯が抜けてきて、保険適用の部分入れ歯を使う事になりましたが、慣れないためか食しにくく、食事がすすみません。快適に食事をする為にはどうすればいいでしょうか。（2019年9月19日掲載）

• A

  　まず、入れ歯に慣れない場合、その原因が何か調べることが大事です。取り外し式の部分入れ歯の場合、外れないように残っている歯に引っ掛ける装置が付いていて、その装置の不具合でゆるくなったり、逆にきつくて歯に負担がかかったりすると、慣れない原因となります。
  　また、入れ歯を安定させるためには、歯が抜けた顎の部分を覆う床が小さすぎると物が入ったり、がたつきがでたりします。ある程度の大きさや厚みが必要ですが、大きすぎると発音に影響したりして異物感が大きく、慣れない原因となります。
  　他には、噛み合わせのバランスが悪いとよく噛めず、咀嚼がうまくいきません。それらの調整は、使用してもらいながら何回かの通院が必要で、少し我慢して装着して、異物感に慣れるのも必要です。それでも慣れない場合は、快適性を追及したその他の種類の入れ歯もありますので、主治医に相談する事をお勧めします。

• Q

  小学生の息子がよくこけて顔を打ってきます。いつか歯が折れたり抜けたりしないか心配です。もし歯が折れてしまった時はどのような対処をすればいいのでしょうか。（2019年6月19日掲載）

• A

  　対処方法にいくつかポイントがあります。第一に、歯が折れたり抜けてしまった場合、歯のかけらが落ちてないか周囲を探します。もし見つかれば再植と言って元に戻せる可能性があるからです。その場合、乾燥を防ぐ為、洗わずにすぐに牛乳の中に入れます。学校によっては、歯の保存液が常備されている所もあり、無い場合は、コンタクトレンズの保存液や水道水などで保存します。
  　第二に、出来るだけ早く歯科医院へ受診し、再植治療を行います。歯の表面の歯根膜という繊維が新鮮な程、成功率が上がるからです。歯の表面をゴシゴシ洗わず、速やかに歯科医院に持ち込むのが肝要です。
  　乳歯の場合は、再植すると永久歯の発育に影響するため原則行いません。歯の損傷状態によっては、再植できない場合もあります。頭を強く打って脳への影響が強い時は、小児科への受診を優先させて下さい。慌てずに対応することをお勧めします。

• Q

  虫歯の進行がひどく、神経をとる話が出ています。神経をとった歯はその後どうなってしまうのでしょうか。定期的な治療は必要ですか。（2019年3月4日掲載）

• A

  　虫歯が深く、歯の中心部にある神経が感染してしまうと、痛みが強く出たり、感染が根の深くまで浸透してしまう為、神経をとるか相談になる場合があります。
  　歯の神経をとるには、外側の歯の質を半分以上削って、大きな穴をあけないとできません。また、歯の神経部（歯髄）をとると栄養がいかなくなり、歯の質が弱くなってしまいます。この状態を失活歯と呼びます。
  　失活歯は、脆く破折しやすく変色もする為、補強が必要で、芯棒を入れたり、歯そのものを人工の材質で被せる必要がでてきます。歯の神経がある部分は複雑な形をしている為、治療期間が長くなったり、神経を完璧にとるには限界もあり、再感染して治療をやり直さなければいけないリスクもあります。
  　神経をとった歯は、神経を刺激するような痛みはでませんが、経過観察が必要になってきます。神経をとらないのが理想ですが、歯の状態や治療方法により神経をとってしまった歯は、問題が起きていないか、その後の定期検診が重要になってきます。

• Q

  30歳男性。就寝時にギリギリと歯ぎしりがうるさく眠れないと妻に指摘されます。また、朝起きると顎の辺りが凝っている事が度々あります。治療方法にはどんなものがありますか。教えてください。（2018年12月18日掲載）

• A

  　就寝時にギリギリと歯を合わせている方は、歯ぎしりや食いしばりをしており、それが原因で病的な症状が出ることがあります。睡眠時の無意識下での噛む力は、覚醒時の数倍との報告もあり、歯が異常にすり減ったり、かぶせ物や詰め物が破損したり、歯茎が損傷してさがったり、顎の周囲の筋肉や首や肩が凝ったりと、多様な症状が現れます。
  　治療法には、マウスピースを装着することにより症状が軽減される事が多く、対処療法としてよく行われます。その他に、顎や肩の筋肉のストレッチをしたり、日頃から「上下の歯を合わせない」という習慣づけをしたり、就寝前に「歯ぎしりしない」と自己暗示をかけることが有効な場合もあります。痛みが強い場合は、鎮痛剤などの薬物療法を行う場合もあります。ストレスや不用意にかみ合わせる悪習癖が原因といわれますので、生活習慣を整え、歯科に受診することをお勧めします。

• Q

  30歳女性。口内炎がよくできます。レーザー治療で治 療できると聞きましたが、効果があるのでしょうか。教え て下さい。（2018年8月22日掲載）

• A

  　口内炎にもいろいろ種類があります。大きさが5㎜以下のものから1㎝を超える大きいものや、複数個でき腫瘍のようにくぼんで接触すると痛みを伴ったり、再発を繰り返したりするものもあります。レーザー照射を利用した治療が有効なのは、この中で大きさが5㎜程度で1個から5個ぐらいの再発性アフタ性口内炎(小アフタ)と言われるものになります。
  　その他の治療方法では、局所の刺激を避け、口内炎パッチの貼付、ステロイド含有軟膏塗布、含嗽、薬物療法および口腔内を清潔に保つことなどが一般的ですが、しばしば接触痛を伴うため、摂食・会話などが困難な場合は、比較的早期の効果が期待できるレーザー治療が最近、保健治療の適応となりました。しかし治療を行っても症状の改善が認められない場合は、他の医科計的原因があったり、口内炎でないこともありますので、その時はより専門的な医療機関での治療をお勧めします。

• Q

  知覚過敏があるので、歯科検診の時に薬を塗ってもらってます。しかし、次の健診までもたず、気がつけばまた冷たいものがしみます。知覚過敏はもう治らないものでしょうか。（2018年4月18日掲載）

• A

  　知覚過敏は、一時的に冷たいものを口にしたり、歯みがきの時など、刺激を受けた時だけ痛みます。
  　原因は、歯の表層のエナメル質という部分が何らかの原因で剥がれ、象牙質という部分が露出すると起こります。また、歯周病や加齢により歯肉が下がり、根の部分が露出しても起こります。その他、歯ぎしりや、不適切な歯みがきなども原因になります。
  　治療方法は、塗り薬をしみる部分に塗布する方法が一般的ですが、効果がない場合は、樹脂を貼り付け歯の質を保護したり、噛み合わせ治療や、歯ぎしり防止のマウスピースを作成したりします。歯の神経が過敏になってしまう生活習慣が原因の場合もあり、問診により原因を追求します。それでも症状が強い場合は、最終手段で神経を取る治療を行いますが、歯を削るため好ましくありません。段階的に治療を進めていくことが多いので、主治医と相談のうえ、次の治療法を試されることをお勧めします。

• Q

  30歳主婦です。自分は、昔からむし歯になりやすく、治療したところがたくさんあります。今回妊娠したのですが、赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。注意することがあれば教えて下さい。（2017年12月12日掲載）

• A

  　むし歯は、生まれつき歯の質や、むし歯を防ぐ作用がある唾液の抵抗力が弱いなどの体質的な部分に問題があり、甘い物を好む、適切でない歯磨きを続けている、不規則な生活など、悪い生活習慣が絡みあって発生します。
  　そして、赤ちゃんは、育つ環境に左右されることが多いものです。家庭での食事や飲み物の与え方、歯みがきなどの習慣が、お子さんのむし歯をつくる原因となり、むし歯になりやすくしてしまいます。
  　また、むし歯は、お母さんから赤ちゃんに伝播することが多いと言われており、妊娠中にお母さんの食生活の習慣の見直しを行い、お口の中を清潔に保つことでお子さんへの影響を少なくすることが可能です。
  　体質的な問題は努力して改善するのが難しいですが、生活習慣は今からでも改善できます。妊娠中でも歯科受診は可能ですので、安定期に歯科検診を受け、むし歯などがあれば早めに治療、管理しておくことをお勧めします。

• Q

  3歳男児の母親です。歯科健診で「癒合歯」と指摘されました。どのような状態で、何に気をつけたら良いのか教えて下さい。（2017年8月23日掲載）

• A

  　「癒合歯」とは、2本の隣り合わせの歯が先天的にくっついている状態の事で、乳歯列期の下の前歯によく見られます。通常は、長方形をしている歯が並列にくっつき、扁平な歯の真ん中に溝が入ったように見え、健診で指摘される事が多くあります。
  　気をつける事は、癒合している境目の溝の部分が虫歯になりやすい事です。また、6歳前後の生え変わりの時に問題が起こる場合もあります。癒合歯の根が邪魔をして永久歯がうまく生えなかったり、下から生えてくる永久歯自体が小さい形をしたり、同じように癒合していたり、先天的に存在しなかったりする異常です。
  　お子様は3歳という事ですので、虫歯のケアをしっかりして、様子を見られるのはいかがでしょうか。そして、前歯の生え変わりの年齢になりましたら、スムーズに生え変わりができるか、下から生えてくる永久歯の形や数に問題がないか、歯科に相談される事をお勧めします。

• Q

  高校生の母親ですが、先日息子が、サッカーの試合で相手の頭が顔に当たり、前歯が折れてしまいました。神経を抜いて差し歯になるようです。何か予防方法があれば教えて下さい。（2017年4月20日掲載）

• A

  　スポーツマウスガードをお勧めします。身体が接触しあうコンタクトスポーツや球技などで、歯や口中の損傷を予防する為に使用されます。
  　激しい接触や外力で歯が抜けたり折れることや、衝撃で歯の神経が壊死したり粘膜を切ったりするのを防ぐと共に、頭蓋への振動を緩和するため、脳しんとうを予防する効果もあります。
  噛み合わせが安定するので、運動能力が向上するという報告もあります。
  　既製品と、歯科で作製するオーダーメード品があり、既製品はお湯で樹脂を軟化させ口中で固める方法ですが、歯科では歯型を作り、歯科技工士が精密にプレスして作製し、色や厚さ大きさを指定する事ができるため、デザイン的にも満足しフィット感も良いとされています。
  　スポーツ歯学という研究分野があり、歯科ではマウスガードの普及を目指しておりますので、お近くの歯科へご相談することをお勧めします。

• Q

  最近、入れ歯が食事中に1本折れてしまいました。1本だけだし、綺麗に折れたので、接着剤でつけて使用しています。少し違和感がありましたが、このまま使い続けても大丈夫でしょうか。（2016年12月20日掲載）

• A

  　ご質問の内容を推測しますと、入れ歯の人工歯の白い部分が折れて、ご自身で修理されたようですが、一般の接着剤でつけたところは弱く、再度、破損する恐れがあります。
  　修理した部分は精度も落ち、違和感が少なくても歯肉や残っている歯に負担がかかって、知らずに歯肉が痛んだり、噛み合わせのバランスが狂ったりして、修理するのが困難になる場合があります。
  　馴染んで使用感に問題のない入れ歯でしたら、入れ歯専用の樹脂で接着修理が可能ですし、白い人工歯の部分だけ新しいものと交換する方法もあります。
  　また、古くなり強度に不安がある場合は、全体的に修理したり、調整したりする必要がありますし、新しく作り直したほうが良い場合もありますので、かかりつけの歯科の受診をお勧めします。

• Q

  主人の歯の詰め物が取れた上に少し欠けたようなのですが、そのままにしています。
  何度歯医者に行くよう言っても、大人なのに歯医者で怒られるのが嫌だと言い行きません。不便ないようですがこのままで大丈夫でしょうか。

• A

  以前装着した詰め物が取れたとのことですが、金属製の詰め物を接着剤でつけたり合成樹脂を直接詰めたりしたものでも耐久性には限界があります。
  適正な治療をしていても再び虫歯になることもありますし、噛み合わせの変化で歯が欠けたりします。症状がなくても、欠けた部分から虫歯菌が根の中に進行する可能性があり、深い虫歯に変化したり、根の先端や顎の骨に炎症を起こすと重篤な症状がでたり治療が困難となり最悪抜歯になる可能性がでてしまいます。
  早期であれば、同じような詰め物で治療可能ですし、根管治療等の根の中の消毒で炎症を食い止める事も可能です。
  詰め物が取れる事は恥ずかしい事でもないですし、怒られる事もありませんので早めにかかりつけの歯科医院への受診をお勧めします。

• Q

  小学６年の男児ですが学校健診で勧告書を貰ってきました。虫歯の項目にCOと書かれていますが治療する必要があるのでしょうか。放置していて虫歯が進行しないか心配です。教えて下さい。

• A

  平成7年4月より学校保健法の一部改正に伴い、学校における定期健康診断では、従来の「疾病の早期発見・治療勧告」という考え方から、「心と体の健康つくり」を指向するようになりました。
  歯科健診もこれに呼応して、むし歯の検査に要観察歯CO（シーオー）の概念を導入しました。進行程度によりC1からC4の4段階に分類して、歯科医院への受診治療を勧めるCと、初期う蝕の可能性があるものの自ら管理することによりう蝕への進行を防げうるCOに分けるようになりました。
  具体的にCOとは、歯の噛む面の溝の褐色状の着色、つるつるした面の白濁などを指します。直ちに治療する必要はなく適切なブラッシングとフッ素などの歯の質の強化、食事環境の改善で虫歯の発症を防ぐ事が出来ます。
  ただし適切な管理を行わないと虫歯が発症することがありますのでかかりつけ医での指導を受ける必要があります。

• Q

  5歳の孫は毎食後の歯磨きをしているにも関わらず何度も虫歯ができ、近所の同世代のお子さんは寝る前のみの歯磨きで虫歯ゼロだそうです。何が違うのでしょう。

• A

  虫歯の原因は口内に潜む虫歯菌の細菌の塊であるプラーク（歯垢）です。これは、粘りが強く歯ブラシが適度の圧力で当たらないと取れません。回数を多く歯磨きをしていても残念ながら適正に歯ブラシが行われてないと虫歯が発生してしまいます。
  また、虫歯の予防には、歯磨きによる虫歯菌のコントロールの他に虫歯菌が歯を溶かす酸を産生する原料となる甘い物の摂取制限や、歯の質を強くする薬物の塗布（フッ素塗布）などもあげられます。また唾液には、虫歯を抑制する作用があり、唾液の質や量が虫歯のできやすさに関係しているという研究報告もあります。お子さんの虫歯のなりやすさは、適正な歯磨き、食事環境、歯の質や口内の虫歯耐性の気質が関わりが関係して決まりますので、個人に合った虫歯予防プログラムを歯科医院で作成してもらう事をお勧めします。

• Q

  最近、口の中に白い斑点のようなものができ、ブラシをかけると取れますが、ひりひりしてだんだんひどくなってきました。癌なのか心配です。治療方法を含め歯科で診てもらったほうがよいのか教えてください。

• A

  お口の粘膜に白い点状、線状、斑紋状の白い苔状のものが広がり、擦ると除去できる状況から推測しますと口腔カンジダ症が疑われます。これは、全身的な病気の影響や体力低下により免疫力が低下した時に発症しやすく、カンジダ・アルビカンスという真菌（しんきん：かび）が異常に増殖して起こる感染症です。治療方法としては、お口の中を清潔に保ちうがい薬や塗り薬の塗布、時に抗真菌薬の内服で治療可能で癌とは異なるものです。ただし、口腔粘膜にできる病気で白い色をしたものには、癌に移行する可能性のある白板症や、正確な原因はわかりませんが、金属アレルギーが原因とされる扁平苔癬など治りにくい病気もあり専門的な鑑別が必要です。歯や詰め物が原因の場合もあり、歯科あるいはこのような病気を専門とする口腔外科での早めの受診をおすすめします。

• Q

  68才女性ですが、唇に水泡のような物ができ歯科医院に行った所、口唇ヘルペスの疑いと言われました。何が原因でしょうか？

• A

  口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが原因の感染症で人との接触や共有する生活品を介して感染します。
  症状としては、口唇の周りが赤くなり水泡のようなものができムズムズしたり痛みを伴う場合がありますが、10日から2週間で治ります。ただし、免疫がなかったり体力の低下した方は、重症化する場合があります。接触感染しても症状がでず、時間が経ってから症状が発現したり、再発をくる返すのが特徴です。これは、ヘルペスウイルスが神経細胞の中に潜んでじっとしている性質があり病気やストレスで体力がおち免疫力が低下すると暴れ出し、症状が発現する為です。風邪、疲労、ストレス、紫外線、月経前、抗がん剤や免疫抑制剤の治療をうけたりした後、発現する場合があります。治療は、抗ウイルス薬の塗布や内服が主になりますが、再発を繰り返す方は、日頃から免疫力を高めたり不摂生せず疲れやストレスを溜めない習慣が必要です。

• Q

  63才女性ですが、家族から口臭を指摘され悩んでいます。何が原因でしょうか？

• A

  口臭の原因には、様々な要因が考えられます。生理的なもの、ストレスによるもの、食物や嗜好品によるもの、病的なものなどが挙げられます。生理的なものとは、唾液量が減少して口腔内細菌が増殖し揮発性硫黄化合物が増えるために起こります。起床時に気になる口臭がこの代表的なものです。 口腔内清掃をしたり、唾液量が増加すれば改善され特に治療の必要はありません。 ストレスによるものも、同じく唾液量の減少が関係しています。タバコやニンニクなどの食品が原因している場合は一時的なもので、生活習慣の改善で対応できます。病的なものには、口腔内の不衛生で起こる虫歯、歯周病や舌の表面に細菌が付着する舌苔が原因しているものがあり、歯科での治療やメンテナンスで改善できます。まれに全身的な疾患が原因している場合もあります。先ずは歯科での診断を受け対応されることをお勧め致します。

• Q

  歯周病を放置すると全身に影響すると聞きましたが、どのような影響があるか教えて下さい。

• A

  歯と歯肉の間には歯周ポケットという溝があり、細菌である歯周病菌がその部位に感染し炎症を起こすと歯周病を発症します。初期には、ほとんど自覚症状がありませんが、炎症が進むと歯茎が腫れたり少しの刺激で出血したり、歯がぐらつき、最終的には歯が脱落します。その原因となる細菌が、血管を通じて全身のいたるところに巡り、いろいろな影響を及ぼす事が研究により明らかになりました。
  心臓の血管に影響を及ぼし狭心症や心筋梗塞を発症させたり、脳梗塞においては、2.8倍の発症のリスクが高まると言われています。唾液中の菌が誤嚥により肺に感染すると肺炎を発症し高齢者の死亡の原因となります。いわゆる誤嚥性肺炎の予防には、歯周病治療が重要であると言われてます。妊娠中の女性の場合、子宮の収縮が促され早産、低体重児出産の原因になるという報告があります。初期には、症状がありませんが、早めの治療介入によりコントロールできますので、かかりつけ医での治療、メンテナンスをお勧めします。

• Q

  先月虫歯で削って詰めた歯がアイスクリームを食べた時にしみました。歯科医に相談したところ「もう少し様子をみましょう」と言われました。本当に放置していても大丈夫でしょうか？

• A

  虫歯の治療において神経をとらずに詰めて治療が完了しても温度差のある食べ物や飲み物などでしみる場合があります。
  しばらくするとおさまる場合も多く、神経をとってしまうデメリットを考えたときに、すぐに神経をとらずに経過観察する場合が少なからずおこります。歯の中の組織（歯髄）には神経と、歯へ栄養を供給する毛細血管が一緒に走っていて、神経をとる時に一緒に取り除いてしまう為、その後は歯へ栄養がいかなくなり、被せても歯の質の強度が弱くなり歯の寿命は短くなります。神経をとらずに虫歯の治療を行うのは、歯科医師として信頼のおける治療方針だと思われ患者さんの為を思う医療行為です。しかし、長く症状が改善されなかったり、生活に支障をきたす場合は、もう一度、歯科医師にご相談され治療方針の検討をさることをおすすめします。

• Q

  30歳女性。現在妊娠6ヶ月ですが、妊婦健診で虫歯を指摘されました。症状はありませんが、治療した方が良いでしょうか？また、レントゲン撮影を行っても問題ありませんか？教えて下さい。

• A

  安定期に入っておりますので、通常の治療は可能です。
  ただし、虫歯の深さによって治療内容は変わります。正確な診断を行う為にレントゲン撮影を行います。その時の被曝量は、撮影部位が胎児から離れていて、通常防護エプロンを使用しますので、影響はほとんどありません。小さい虫歯の場合は、数回の治療で終わりますが、無症状でも虫歯が神経まで影響している場合は、治療期間が長くなる場合があります。赤ちゃんの口の中には、もともと虫歯菌は存在しておらず、周囲の方から唾液を介して感染します。接触する機会が多い母親の口の中を清潔にしておく事は、生まれてくる赤ちゃんにとっても大切な事ですので、悪くなる前に早めにかかりつけ医に相談される事をお勧めします。

• Q

  インプラント（自費診療）を行う際に、不安なのでいくつかの歯科医院へいこうと思っています。どのようなことに気をつけて先生に話を伺えばいいでしょうか。

• A

  どのような治療にも利点と欠点が存在します。歯科インプラントの利点としては、入れ歯の不便さを解消できる、歯牙を削って連結するブリッジのように、他の歯牙を切削する治療を回避できる点にあります。欠点としては、顎骨の状態により、インプラントが安定しない場合がある点です。
  また、インプラント治療の成功を妨げる問題点があるのか知っておく必要があります。また、お口の中の全体を見渡した治療計画が立てる事が可能か、治療にどれくらい時間がかかり、インプラントが永続的に機能するための付加的治療をどの程度行う必要があるか知っておくべきです。そのような手順をふまえて治療を行えば、インプラントは生活の質が向上する優れた治療法です。是非、その点を相談され、質の高い歯科治療を受けられる事をおすすめします。

• Q

  80歳の男性です。口内炎ができやすく、なかなか治りません。原因や対処方法を教えてください。

• A

  口内炎を引き起こす原因には、
  ①口の中が不衛生
  ②ビタミンなどの栄養不足
  ③疲労やストレスなどによる体力低下
  ④全身的な病気
  ⑤誤って口の中を傷つけてしまう
  などが挙げられます。自分の生活環境の中で、これらの原因が当てはまる場合、口内炎になりやすくなります。普段から、ビタミン不足にならないように、ビタミンB群を多く含んだバランスの良い食事を摂るように心がけ、規則正しい生活を送りましょう。食後は歯磨きをし、殺菌作用のあるうがい薬で、口の中を清潔に保ちましょう。また、口の中に傷を作ると、口内炎の素になる可能性がありますので、歯ブラシなどで、傷を作らないように注意しましょう。また、歯科外来ではステロイド軟膏を患部に塗布したり、レーザー治療で痛みをとる治療を行います。それでも、口内炎が治りにくい場合は、他の疾患が隠れていることもあり、長引く場合は、病院で診察をお勧めします。

• Q

  70歳女性です。歯が黄ばんでいて悩んでいます。歯を白くする方法を教えてください。

• A

  歯を白くするには、大きく分けて3種類の方法があります。
  ①まず、歯の表面の着色汚れを落とすクリーニングは、専門の器械やペーストを使用して、歯科医院で行います。定期的に行うと効果があります。
  ②次に、歯の明度を上げて白くするホワイトニングは、家庭で行えるホームホワイトニングと歯科医院で行うオフィスホワイトニングがあり、効果が発現されるまでの時間に差がありますが、オフィスの方が短期間に効果がでます。
  ③その他には、歯を白色のもので隠す方法がありますが、ほとんどの場合歯を切削する必要があるため、合成樹脂やセラミックなどでカバーします。金属や虫歯の治療で修復したものには、どの方法も適応しませんので、被せたり詰めたものを外す必要が生じます。
  後者になるほど費用や時間がかかり、歯を削る必要があり、その方の状態や要求度で方法が変わりますので、かかりつけ医にご相談下さい。

• Q

  インプラント治療（自費）を考えているのですが、糖尿病で薬を服用しています。全身的な病気を患っている人はインプラント治療が難しいと聞いたのですが、本当ですか？

• A

  糖尿病が進行すると抵抗力が低下し、炎症を引き起こしやすくなります。
  また、インプラント手術後の創傷治癒が遅れ、インプラント治療の失敗に繋がることもあり難しいとされています。
  しかし、血糖値のコントロールがうまくできていれば、インプラント治療も可能な場合があります。日本口腔インプラント学会でのガイドラインでは、インプラント治療に際しては，ヘモグロビンA1c（HbA1c）は6.5％以下，空腹時血糖値1４0 mg/dL 以下、ケトン体（－）にコントロールされていれば手術するには問題が少ないとされています。そして、治療終了後は、慎重な経過観察と臨床検査値のチェックを怠らないように提案しています。インプラント専門医への相談の上、慎重に治療されることをお勧めします。

• Q

  インプラント治療（自費）を望んでおりますが、かかりつけの歯科で条件が悪いので 治療が難しいと言われました。難しい場合の対処方法があれば教えてください。

• A

  質問の内容を推測しますと、問題点は3点あります。
  歯科インプラントを行う上で、
  ①顎の骨の条件が悪く難しい場合
  ②歯周病等の感染に対する管理が難しい場合
  ③噛みあわせなどのインプラントへの荷重のかかり具合が難しい場合です。
  インプラントを埋める顎の骨の条件は、骨造成法などの、付加的手術を行う事により改善が可能ですが、歯周病の管理は、インプラントを計画している部位以外のケアや治療が必要になってきます。
  日頃の口腔ケアや抗生剤的治療、外科的治療や、抜歯も必要になる場合があります。噛みあわせの治療は、上下左右の歯の噛みあわせのバランスを治す必要が多く、歯ぎしりなどの無意識に行っている習慣も問題になり、お口全体的な治療で時間がかかる場合があります。
  問題点が明確であれば、インプラント治療が可能になる場合が多いので、インプラント専門医の受診をお勧めします。

• Q

  ２０代男性です。インプラント治療を考えているのですが、年齢に関わらずどんな人でも治療できるのでしょうか？
  また、禁煙をすすめられましたが、インプラント治療に関係ありますか？

• A

  若年者は顎の成長があり、インプラントを埋めても歯列の位置が変化したり、顎の成長を抑制してしまい、望ましくないと言われています。
  顎骨の成長発育が完了した頃２０歳以降は手術が可能となります。
  高齢者は、骨密度や基礎疾患等に問題がなければ、暦年齢に関係なく治療を受けることができます。
  喫煙されている方は、ニコチンの影響で抹消の血液循環が悪く、傷口の治癒が遅くなり、インプラントの生存率が下がります。
  そればかりでなく、歯周病や虫歯の発症、口腔ガンのリスクも高まりますので、この機会に禁煙をおすすめします。
  どうしても禁煙できない方は、医科で、禁煙外来を設けている医療機関が増えてきました。
  条件つきで健康保険も適応されていますので、ご相談されてみては、いかがでしょうか。

• Q

  ６０代女性です。歯周病を患い、歯がぐらぐらします。
  近くの歯科へ行ったら抜歯をしてインプラントを埋めるのを勧められました。
  インプラント治療が問題ないかどうか不安です。注意点を教えてください。

• A

  歯周病の進行により歯の保存が不可能で、抜歯した部位にインプラントを応用し、噛み合わせや見た目を回復することは非常に有効な方法です。
  しかし、注意が必要です。インプラントは感染に対する抵抗力に乏しいため、感染させないケアが必要であり、術前に残っている歯が歯周病であれば、歯周病の治療をしっかりする必要があります。
  また、歯周病で失った歯の部位の顎の骨は吸収され、インプラントを手術するには、顎の骨の再生を待たなければならず、余分に時間が必要だったり、付加的な手術が必要であることがあります。
  また、噛みあわせのバランスもインプラントを長持ちさせるのに重要な要素です。
  インプラント治療が適応であるか、専門的な検査をおすすめいたします。

• Q

  虫歯の治療で歯科を受診した際、親知らずが４本しっかりと埋まっているのがレントゲンでわかりました。
  このような場合でも、親知らずは抜歯した方が良いでしょうか？

• A

  親知らず（８番めの歯）の生え方によっては歯磨きが難しく、将来的に虫歯や歯周炎になってしまう可能性が非常に高く、その影響で手前の健康な歯(７番めの歯)が虫歯や吸収をおこす場合があります。
  また、親知らずが虫歯になってしまった場合、一番奥の歯なので治療器具が届きにくく、その後のメンテナンスも難しいので、治療をしたとしても高確率で再発しますので抜歯を勧められるケースが多いかと思います。
  しかし、今回のご質問のように、完全に親知らずが埋もれていてレントゲン上で問題ない場合や、その他の歯への影響がみられない場合、まっすぐ生えてきていて、清掃性に問題ない場合は抜歯しなくても良い場合があります。親知らずの位置、生え方によって抜歯したほうが良いか決まりますので、かかりつけ医にご相談ください。

• Q

  インプラントをしたいのですが、「長持ちしない」という話も聞きます。どんな点に注意したらいいでしょうか。

• A

  歯を失うと、十分な咀嚼ができない為、食事がおいしく感じられない、人前でも大きく口を開け笑えないなど、身体的にも精神的にも生活の質の低下を招いてしまいます。
  そこで、その回復を目的にインプラント治療が行われていますが、ご質問のように残念ながら長持ちしない状況が起こる事があります。
  それには２つの原因が考えられます。
  １つは、インプラントが歯肉を貫通する部分より感染し、骨吸収を起こしインプラント周囲炎の状態になった場合です。
  インプラントを支持する骨や歯肉が炎症を起こすと腫れや痛みを感じることがあります。２つめは、かみ合わせのバランスが良くなく、過度な負担がインプラントに加わり歯牙の部分やその下の構造物に破損が起こる場合です。
  どちらも毎日のお口のお手入れと、歯科医院でのクリーニング、かみ合わせやその他の歯牙を含めた歯科健診により防ぐことができますので、専門医による定期的なメンテナンスを受けるようにお勧めいたします。